『グーグル ネット覇者の真実』読んでます
4月に入ってから『グーグル ネット覇者の真実』をちびちび読んでいます。
- 作者: スティーブン・レヴィ,仲達志,池村千秋
- 出版社/メーカー: 阪急コミュニケーションズ
- 発売日: 2011/12/16
- メディア: 単行本
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素晴らしい内容なのでまとめていこうと思います。
内容がとても濃いので、いくつかに分かれそうです。
まずはグーグルという企業のあり方に迫った3章です。
3章 邪悪になるな
グーグルの企業文化
- 彼らが開発したテクノロジーはより良い世界をつくるためにあり、彼らがつくった会社もまた同じ目的を共有している。グーグルは理想的な行動規範をもった企業としてほかの会社を導く光となる。社員を第一に考え、データ主導の経営スタイルを取るリーダーシップ。そして、素晴らしく頭の切れる社員たちは、もてる知恵と技術力のすべての注ぎ込んでユーザーに力を与え、広告のクライアントに富をもたらそうとする。
- 「私たちの野望は、グーグルがより良い世界をつくる企業になることだ。私たちは、ある程度の短期的収益を犠牲にしても世界にとってためになることをする企業になった方が、長期的には株主や他の関係者に利益をもたらすと固く信じている。これは私たちの企業文化の重要な側面であり、社内でも広く共有されている」
- ラリーとサーゲイは2人とも幼少時代にモンテッソーリ教育を受けていた
- グーグルは企業として、絶対に遊び心を失わないことを固く決意している
- グーグルの企業文化にとって最も神聖な祝日はエイプリルフール
- 想像力を想像力を大きく羽ばたかせるように期待されている社員たちは、この日のために何ヶ月もかけて緻密に計画された悪ふざけの準備をする
- トイレ内の壁には目の高さにコードのテストに関するメモが貼られている
- 開発者が仕事を効率化するために、負荷テストやマイクロベンチマークテストにかかわるアイディアをトイレに貼る「テスティング・オン・ザ・トイレット」と呼ばれる取り組み
- グーグルの高い理想を実現するために毎日大量の仕事をこなしている現場では、1秒もおろそかにできない
- 次のアップルかマイクロソフト、あるいはそれらを超える企業になるという共通の夢だけがその存在意義だった
- 一日が終わると、人々が帰宅するような時間になっても、グーグルの若いエンジニアたちはほんの1、2年前まで大学でやっていたような雑談に興じ、仕事について熱く語り合った
- 毎週金曜日の午後4時30分には、TGIFと呼ばれる全社ミーティングが開かれた
- ブリンとペイジは出張中でない限り、必ずTGIFを主催した
- 彼らは社外で話すときより、社員を相手に話しているときの方がはるかにリラックスして見えた
- 彼らはお互いをからかいあったり、ある意味で高度だけれどもややオタクっぽいユーモアを交えつつ、ミーティングを進行させた
- TGIFはグーグルプレックスで常にビールが振舞われる唯一の会合だった
- 時刻がまだ夕方ということもあり、飲み過ぎる者は1人もいなかった
- 社員の大半は週末に備えて仕事を片付けるために再びパソコンの前に陣取り、2、3時間は残業をした
- 食事の無料サービス
- 健康的な食事をたっぷり取りながら、社員同士が心を通い合わせて仕事に関する革新的なアイディアを共有する
グーグルの採用方針
- 「私たちが採用試験で候補者の面接を行う際には質問への回答を4点満点で評価して、平均点が3点以下なら不採用にする。これは大学で採用されている成績評価システム(GPA)とまったく同じことだ」
- ペイジとブリンは、会社が成果を出せるかどうかは、トップクラスの知性や能力をもつ人材を採用できるかどうかにかかっていると考えている
- ペイジはあるとき、グーグルに採用されるほど優秀な人間なら、出張中に空港で待ち時間ができたときに、彼に興味深い話題を提供して飽きさせない程度の知識や利発さがあって然るべきだと語ったことがある
- たとえば、ジョー・クラウスは入社してから半年後に、社内でこれまで「頭が悪い」人間に1人も会ったことがないことに気づいた。「血の巡りが悪いやつが1人もいないんだ。これだけの規模の会社なのに、ちょっとすごすぎる」
- 現時点での社員の平均的な能力を超える人材しか採用しない方針
- 基本的な採用基準は、とてつもなく高い知性と抑えきれないほどの野心を備えていること。さらに、より定義が難しい基準だが、グーグルらしさをもっていること。
- 会社が本当に人を増やす必要があったとしても、企業文化を犠牲にしてまで社員を採用したくない
- 採用プロセスの一環として設けられている採用委員会は、入る資格のない者たちは決して中に入れまいとするグーグルの守護者の一団
- 面接中の彼はどんな様子だったか?相手の目を見て話していたか?好人物であるように思えたか?君だったら隣の席に座ってほしいような人物か?といった質問をを採用担当者に矢継ぎ早に浴びせる
- 自分の仕事について隅々まで理解しており、自分の行動を弁護したり、自分の考えや気持ちをきちんと相手に伝えたりするスキルを持ちあわせていないとやっていけないので、採用段階で見極める
- 会社の受付係に無作法な態度を示すような候補者は、問答無用で採用対象からはずす
- グーグルの採用基準にはエリート主義的な一面もある。設立当初から学歴を重視し、出身校で候補者を分類している。恵まれた環境で育ち、頭が良くて努力家で、SAT(大学進学適正試験)では高得点を取り、学校の成績も優秀で、最高レベルの大学に入れるほど素晴らしいエッセイを書く能力があるーそんな若者たちを採用する。
- GPAが3.5以上なら大体において及第点で、3.0と3.5の間は採用チームにとってはやや不安な数字。それ以下の場合は相当に問題がある。そして、たとえプロとして立派なキャリアを築いていても、学位を取得していないことは大きなマイナスになる。
- 一方、「一芸入試」のようなこともしており、それだけひとつのことに集中できる人間なら、広告営業でも必ず能力を発揮してくれるはずだと判断される。
- 時間の経過とともに、グーグルは採用プロセスを効率化した。かつては、就職希望者の面接回数が最大20回に達する時期もあったが、その回数自体が減らされた。それでもいまだに8回近くの面接を受けることが多い。
- 委員会は求職者の専門分野に関してある程度の知識を有するメンバーで構成されていたが、直属の上司になる人間は必ず除外された。「どんなマネジャーも部下が1人もいない状況よりは誰かがいる状況を望む」ため、標準以下の求職者にゴーサインを出す誘惑に負けてしまう可能性が大きいからだとピーター・ノーヴィグ。
グーグルの職場環境
- 社員への特典以上にグーグルが力を注いでいるのが、理想的な職場環境の実現
- 社内の数百もの会議室にはそれぞれ、遠く離れた世界各地の地名がつけられていた(たとえば、ブルキナファソの首都の名前からとった「ワガドゥグ」という部屋がある)
- ペンやマーカーなどの備品も常に補充されており、社員が仕事以外に余計な労力を使わないようにあらゆる面で配慮されている
- このような努力により、数十万時間もの貴重な労働時間が節約される
- グーグルのこうした配慮は、他社では社員の貴重な労働時間を奪い、頭痛の種となっている様々な手続きや社内プロセスにも及んでいた
- 社員には自由に使える「魔法のチケット」が与えられ、チケットの登録を行うだけで、自分のデスクや椅子などの作業環境を好きなように変更できる
- 例えば、立ったまま仕事をする、バランスボールを椅子の代わりに使う
- 社員には自由に使える「魔法のチケット」が与えられ、チケットの登録を行うだけで、自分のデスクや椅子などの作業環境を好きなように変更できる
グーグルの組織体制
- ペイジとブリンは、数千人のエンジニアを抱える大企業を抱える大企業を円滑に運営すると同時に、自由な発送や創造性を重視したのびのびとして職場環境を実現したいと考えていた
- ペイジ「人は誰にも管理されたくないものです」キャンベル「いや、実は管理されたがっているんだ」
- エンジニアを1人ずつ呼び出して聞いてみたところ、みんな管理されたいと答えた
- 社員たちは誰か学べる相手が欲しいのだ、同僚と意見が食い違って議論が行き詰まったときに、両方の意見を聞いて白黒をつけてくれる誰かが欲しいのだ
- ペイジはエンジニアの言うことを理解できるほど頭の良いプロダクトマネジャーを探しているわけではない。彼が探しているのはプロダクトマネジャーになれるエンジニアなのだ。
- グーグルは就職経験がなく、先入観を刷り込まれていない若者たちを直接大学から青田買いする
- まだ未開発のスキルと洞察力を持った素質の高い若者を採用し、大きな責任を伴う仕事を任せる
- グーグルのPMは命令を出す権限をもっておらず、極めて高いIQを持つエンジニアたちを一定の考え方に従うようにうまく誘導することが仕事だった
- それを実現する唯一の方法は方法は具体的な数字を示すこと。情報だけがエンジニアと同じ土俵で戦うことを可能にした
- このプロセスにおいては、データが常に意思決定の中心に据えられるという意味では、APMの経験不足はグーグルにとって有利に働いた
- グーグルの経営陣は、社内のチームが肥大化していないかと常に心配していた
- グーグルは社員のモチベーションを維持するために、自分たちがプロジェクトの責任者であることを実感できるくらい小規模なチーム編成にこだわってきた
- プロジェクトの肥大化が目立ち始めると、プロジェクトを分解し、複数のより小さなチームに分散させた。社員たちがまるでデータセンターのサーバーであるかのように調整する、このプロセスを「ロードバランシング(負荷分散)」と呼んだ
- OKR: 目標と主要な成果
- 自分が何をやりたいかやりたいかではなくて、作業をセグメント化し、どんな結果をいつまでに出せるか、時期を決めて定量化するという手法
- グーグルにとって定量化できるというのは大きな魅力。OKRは従来の主観的なパフォーマンス評価を数値化するためのデータだと考えられた。
- 社員は全員、四半期ごとと年間を通じてのOKRを設定し、承認を受ける必要があった
- ×「Gmailを成功させる」◯「9月にGmailのサービスを開始させ、11月までに100万人のユーザーを獲得する」
- OKRを達成できないことより悪いのは、目標を大幅に上回る成果を上げること
- これは、社員が誠実ではない、安全策をとって目標を意図的に低めに設定していたことを示す
- グーグルにはチャレンジ精神に欠け、能力以下の仕事しかしようとしない社員を残しておく余地はなかった
- 理想的なのは、OKRで設定した目標の0.7か0.8を達成すること
- OKR設定の6週間後にマネジャーと面接し、進捗状況を報告、評価をもらう
- 青: そのまま進んでよし、黄: 問題発生の可能性あり、赤: 深刻な問題あり
- OKRはマネジャーだけでなく社内全体と共有されていた
- ペイジとブリンのOKRでさえ簡単に閲覧可能
改めてすごい会社だと感じています。
それにしても630ページは長い…。